主催:アース製薬株式会社 共催:朝日新聞社メディアビジネス局

アース虫ケアセミナー2019アース虫ケアセミナー2019

2019年 採録(過去に開催したアース虫ケアセミナーの採録です)

蚊に注意!? 東京2020大会の観戦と感染

忽那 賢志(くつな・さとし)先生国際感染症の専門医

五箇 公一 先生

山口大学医学部医学科卒。関門医療センター、奈良県市立奈良病院感染症科医長を経て、2018年より国立国際医療研究センター国際感染症センター国際感染症対策室医長。日本感染症学会オリンピック・パラリンピックアド・ホック委員会委員。

人類にとって、最大の敵は何でしょうか。2015年に動物に殺された人間の数を見ると、実は蚊によって亡くなった人が圧倒的に多いのです。今も世界中で蚊による感染症に苦しむ人が増え続けているのですが、これには複数の要因が考えられます。

一つはグローバル化。各国の国際化が進み、国から国へ多くの人々が移動するようになったことで、感染症やその原因となる蚊自体も運ばれるようになってきています。もう一つは温暖化。これにより蚊の活動期間が長くなったり、分布域が広がったりしてきています。日本においても、野外に多く見られるヒトスジシマカの分布域は、戦後では関東以南でしたが、今では青森県まで北上しているとされています。蚊による感染症は全国的に注意が必要なものになってきているのです。

実は怖い蚊による感染症

ここ数年で海外から日本に来る旅行者の数は急激に増加し、18年は3000万人を超えました。来年は東京2020大会により、ますます多くの方が日本を訪れるでしょう。一つの会場に多くの人が集まると、それだけ感染症が流行するリスクも高まります。そのためワクチン接種による予防を徹底していく必要があるのですが、蚊媒介感染症の代表でもある「デング熱」や「ジカ熱」は、まだ有効なワクチンがないのが現状です。デング熱は14年に東京都の代々木公園を中心に流行が起こりました。頭痛や関節痛、高熱という症状が見られ、熱が治まると全身が真っ赤になるのが特徴です。ジカ熱は妊婦さんが感染すると、胎児の小頭症に関連するとブラジルで報告がありました。中南米だけでなく、東南アジアでも多数の症例が報告されており、日本でも注意が必要です。

予防には防蚊対策が必須です。蚊の多い時間帯を避けたり、肌の露出を減らすなどしてください。「ディート」や「イカリジン」という有効成分を含む虫よけ剤がおすすめです。汗をかいたり雨に濡れると効果がなくなるので、その都度塗り直し、万全の対策をとるようにしてください。

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